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夜間中学見学

先日,夜間中学校である,尼崎市立成良中学校琴城分校へ
大阪弁護士会子どもの権利委員会のメンバーで
授業見学に行ってきました。

夜間中学校とは,定時制高校とは違います。
義務教育未修了者,入学希望既卒者
(学校に通っていなかったけれども,
卒業証書をもらっている形式卒学者を指します)
を対象としています。

公立夜間中学校は,2019年3月現在で,
全国に31校,
近畿には18校(うち,大阪11校)あります。
驚いたことに,北海道,東北地方,九州には存在していません。
しかしながら,全国で,夜間中学校に通う資格のある人は,
国の調査では“義務教育未就学者”は12万8000人(2010国勢調査),
夜間中学校関係者によると“義務教育未修了者”は
百数十万人いると推測しています。

夜間中学校に行きたいのに通えない,
勉強したくても近くにはない,
そればかりか,夜間中学校の存在を知らずに,
教育を受ける機会を喪失している方がたくさんいると思います。

いま,国の指針としては,
各都道府県に最低1校は夜間中学校を設置することを
目標としているようです。
ただ,とても長い道のりのように感じられました。

さて,琴城分校は,17:30~開始 
40分授業が2コマあって20分の給食を挟み,
その後2コマあって20:40終了です。
一日4コマを平日やっています。
そのうち,約半分は日本語(国語)の授業です。

在校生徒数は約40人
60歳過ぎの方も多く
日本人,在日朝鮮人,中国帰国者
新渡日者などで構成されます。
韓国,中国,ネパール,タイ,インド,
バングラデシュ,ブラジル・・・
国籍も,その人が過去に生活をしていた国も,
その人のルーツにある国も多様です。

生徒の方々の能力は,一人ひとり見事にばらばらです。

外国籍の生徒さんは,主として日本語教育にニーズがあり,
高齢の生徒さんには,主として識字教育にニーズがあります。

また,学力レベルも違います。


日本語をきれいに書けるようになったのが
嬉しいと話していた高齢の生徒さん。

「『ら』と書こうとしたら『ろ』になってしまう」と
ひながなにまつわる「あるある話」を談笑していて,
私には,その感覚さえ新鮮に感じました。
日本語に真剣に向き合っているからこその
気づきなのだと思いました。

日本語さえ克服できたら,数学はすらすら解けるんだな,
と授業の中のやりとりから分かる外国籍の生徒もいました。

夜間「中学校」なので,
中学校の教科書は,国から無料配布されているのですが,
小学校の教科書は配布されません。
しかしながら,通ってきている生徒さん
それぞれの能力に合わせた授業をしようとすると,
主に必要になるのは,小学校の教科書です。
そのため,不要になった教科書を譲ってもらって,
それを使って授業をしているとのことでした。

ニーズに対して国の施策が合っていないんだったら,
そのくらいさっさと手当してあげたらいいのに!
と思わずにはいれません。



給食の時間,生徒の方々にお話を聞かせてもらいました。

みなさんおしゃべりは上手です。
「だからこそ,文字が読めない,
書けないということを知られたくなかった。」と
切実な思いを語ってくれました。

「文字を書けないと知られると,急に態度が変わったり,
ばかにされたり,変な目で見られたりした。」

「学校に行く前までは,病院に行っても
受付の人や看護師さんに書いてもらっていた。
アンケートとかあっても,書いてあることが分からないから,
見ただけで頭が真っ白になる。
分かるはずの言葉も分からなくなる。

でも,それが今では,分かる。
高血圧の薬を飲んでいるとか,
アンケートで答えて,伝えることができる。」

3年間,夜間中学校に通って実感している
「成長」を語ってくれました。

「字が読めることが財産。
お金は使ったら終わりだけど,勉強は自分の中に残る。」
こんな気持ちで,勉強できることってこんなに嬉しいことなんだって,
まっすぐに語っていていることが,とても眩しかったです。

「ここでは,自分が分かるからと言って
威張っている人はいない。お互いに教えあう。
分からないことは,分からないといえば教えてくれる。
分かる人が教える。だから楽しい。」

授業参観している我々に対しても,
生徒さん方は遠慮なく質問しました。
私の方が,「人生の先輩に対して,
私なんかが教えるなんておこがましい」と戸惑いましたが,
生徒さんの方が屈託なく聞いてくる雰囲気がありました。


授業中のやりとりからも,生徒さん方の
キラキラした表情が見えました。
算数の,長方形の展開図を書いて,
「分かったー」っと歓喜をあげ,
満面の笑みを浮かべている70代の生徒さん。


学ぶ事ってこんなに嬉しいことなんだって再発見させてもらえました。


社会の授業では,先生が,
それぞれの生徒さんのルーツにふれながら
授業が進められていました。
先生方も,生徒さん同士も,
それぞれのアイデンティティを尊重していることが分かりました。

夜間中学校の見学を通して,ここがすごく大切な場だと実感しました。
学べるって喜びなんだって,改めて実感し,
意欲をもって学ぶ,知る,その姿勢の美しさに感動がありました。

この夜間中学校を広げていくこと,
そのためには,まずはこんな場がある事を知ってもらうことが,
まだまだ足りないと思います。
私が出来る一歩を協力したいと思い,
見学の感想をまとめてみました。


夜間中学校のことを垣間見れる
ニュース記事を案内いただいたので,引用します。

こちらは,尼崎市立成良中学校琴城分校のことが記事になっています。
【夜間中学はいま】(1)小2で不登校、手こずる「九九」にも学び直す喜び
2019.3.15 21:14 産経WEST ライフ


「社会の変化」映す夜間中学、多様な年齢・国籍の生徒
2019.3.15 19:47 産経WEST ライフ

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