« 2016年7月 | トップページ | 2016年9月 »

2016年8月

障害者差別解消法と24時間テレビ

ある市の教員の方々と弁護士らとで
学校現場の取組みや教師の認識について情報交換したり,
学校現場の課題について意見交換する勉強会を
定期的に実施しています。


今回のテーマは,学校現場での障害者差別解消法
その勉強会の講師であったのが
玉木幸則さんでした。
『生まれてきてよかった―てんでバリバラ半生記』
出版社: 解放出版社 (2012/10/22)


【一部引用】
*本の紹介
「脳性まひの著者が、生いたち、
自立生活運動、NHK「バリバラ」のレギュラー出演など、
半生で経験したさまざまな出来事や出会いを、
思いつくまま明るくポジティブに綴る。
障害者が地域で普通に暮らすことの大切さが伝わる。 」





勉強会で,玉木さんが,開口一番
相模原市での障害者殺傷事件について言及しました。



「障がい者が集められて生活していたからこそ起きた事件」


私は,犯人の障害者に対する偏見についてばかり
着目していましたが,
玉木さんの着眼点が,障がい者を,地域から隔離し,
集団生活をさせている社会の仕組みがあるからこそ
起こったものだ,という切り口であったことに,
驚きと発見がありました。
これは,正直に言うと自分にはない視点でした。




それをきっかけに玉木さんの著書を読みました。

玉木さんが,レギュラー出演している
NHK「バリバラ-障害者情報バラエティー」が
始まった経緯について言及しています。
【一部引用】
2012年にスタートした、障害者のための情報バラエティー「バリバラ」。

笑いの要素を織り交ぜ、
これまでタブー視されてきたテーマにも挑んできました。
2016年4月からは、障害のある人に限らず
「生きづらさを抱えるすべてのマイノリティー」の人たちにとっての
“バリア“をなくすために、みんなで考えていきます。

みんなちがって、みんないい

多様性のある社会を目指して、バリバラは進化します!」






玉木さんが,著書の中でこう述べています。


「…ディレクターが…愚痴をこぼし始めました。
『玉木さんは「がんばっている障害者ばっかり連れてくるな」
というけど,じゃあ,どんな人をつれてきたらいいんですか。
ネタを探すだけでぼくら困っているんですわ』
ぼくは,『そんなことゆわれてもなぁ。
ぼくら日々,障害をネタにして笑かしたり,
それこそ,…がんばっていないやついっぱいおるよ。
そんな人たちを取り上げる番組をつくらなあかんと思う』
と言いました」



「ぼくは,障害のある人に対して,『特別な存在』
『かわいそう』『たいへんそう』などのイメージが
まだまだ強いなかで,『そうじゃないよね』
ということをテレビで伝えたいのです。
それを,自然に『ああ,そうなんや』と思われるつくり方を
したいとい思っています。
ただそれは,非常に難しいです。」



少し突っ込んでいうと,一般にテレビでは,
『がんばっている障害者像』『障害を乗り越える障害者像』
を取り上げがちです。それによって,
『障害のある人はこうでなければならない』とか『こうであるはずや』
といった勝手な思い込みを障害のある人もない人も
させられてしまいます。

そうなると,障害のある人は生きづらいです。
ありのままで生きることよりも,
『がんばること』『障害を乗り越えること』を優先しないと
みんなに受け入れられないのではないかと
思わせられてしまうからです。
そういった状況が作られがちなので,
その状況を変えたい。」





玉木さんのこの番組の意図に関する思いが
頭をよぎったのは,
『日テレ24時間、ダウン症を持つ少女が
「PERFECT HUMAN」を踊る企画が波紋』
というビジネスジャーナル(Business Journal)の
ニュース記事を見たからでした。



【一部引用】

「『24時間テレビ』の予告で、
オリラジの2人とダウン症の少女が
「パーフェクトヒューマン踊るぞ」と手を合わせて
円陣を組む映像が放送されると、
「馬鹿にしてる」「日テレに人の心はないのか」などと
インターネット上では批判が噴出。

「完璧な人間」を意味する曲のタイトルと
ダウン症との組み合わせという企画内容に加え、
歌詞には「世界は必ずしもみんな平等とは限らない」
「世の中には絶対勝者と敗者が存在する」というフレーズもあり、
「愛は地球を救う」をテーマとする
同番組内でなぜこのような企画を行うのか、
以下のような疑問の声が多数上がっている。」


この記事では,『疑問の声』に対する反対の意見や,
NHK番組『バリバラ』のことも言及しています。



玉木さんの話を聞き,著書を読んだ今なら,
『批判』や『疑問の声』自体に,障がい者への大きな偏見が
潜在していることを感じます。


障害者差別解消法第1条にかかげる目的に
「全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現」とあります。


人格と個性を尊重するという精神があれば,
『パーフェクトヒューマン』を踊ることに
過剰反応する必要はないと,


そんなことを,24時間テレビを見ながら考える,日曜日の昼下がりです。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2016年7月 | トップページ | 2016年9月 »