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『いじめはなぜ防げないのかー「葬式ごっこ」から21年―』

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先日の講演に向けて読んだ本です。

何よりも表紙が衝撃です。
この表紙の色紙は,「葬式ごっこ」の際に,
B君の机の上に置かれていたものです。

「Bくんへ さようなら 2年A組その他一同より」と
真ん中に書かれた色紙もおかれ,
その周りには,クラスの人たちが署名や,
「さようなら」「バンザーイ」などのメッセージを書いていました。
教師4人もメッセージを書いていました。

深刻ないじめも最初は悪ふざけから始まることがわかります。

・Bくんは,中学校2年生でした。
・Bくんは,いつも友達のカバンをもって登下校していました。
・Bくんは,よく友達のパシリをさせられていました。
周りの子は,「ついでに俺のジュースも買ってきて~」
とか頼んでいました。

この状況で,Bくんはいじめられている,と気付くことができますか。

・Bくんは,ある時,口の周りにフェルトペンで
ひげを書かれて廊下で踊っており,その周辺にはクラスの子がいました。
・またある時には,Bくんは,気に登らされて歌を歌っており,
その周辺にはクラスの子がいました。
Bくんはへらへら笑っていました。

Bくんへのいじめは徐々にエスカレートしていきます。
・ある日,誰かが校舎のわきに落ちていた夏ミカンの身を拾ってきました。
「これお供えにしようか。」と言ったのが発端となって,
「ねえ,Bくんが死んだことにしちゃおうよ。」
「おもしろいじゃん。」というやりとりがあり,
Bくんの『葬式ごっこ』が行われることになったのです。

・黒板の前にB君の机が置かれ,B君の写真とともに,
牛乳瓶に挿した花や線香が供えられました。
そして,Bくんへの色紙が作成されました。

当日,B君は遅れて教室に入ってきました。
B君は,机の上を見てへらーっと笑って,
「なんだよ,これ~」と言いながら色紙を眺め,
「おれ死んじゃったのかよ……」とつぶやいたそうです。
・B君は,友人の一人に,
「てめえ,なんだよ,こんなこと書いてんじゃねえか。」と言いました。
顔は笑いながらでしたが,涙をぽろぽろこぼしていました。

・その後もいじめはつづき,この葬式ごっこから2か月後,
B君は遠く離れた地で,
デパートのトイレで首をつって自殺しているのが発見されました。
・トイレの中には,紙袋の端を破った紙に
走り書きされたメッセージが残されていました。

「突然姿を消して申し訳ありません。俺だってまだ死にたくない。
だけどこのままじゃ「生きジゴク」になっちゃうよ。
ただ,俺が死んだからって他のヤツが
犠牲になったんじゃ意味ないじゃないか。
だから,もう君達も馬鹿な事をするのはやめてくれ,最後のお願いだ。」

これが,1986年に起きた
「葬式ごっこ事件」(中野富士見中学校いじめ自殺事件)です。


講演では,事件を紹介しながら,
聴衆者の方にもご意見をいただきました。

「いじめられる側にも原因がある。」
これは,いじめる側の言い訳でしかありません。
いじめは,人を死に追いやる可能性もある危険な行為です。
いじめること以外に,絶対により良い解決方法があります。

本を読むと,いじめが発生する異常な空気が分かります。
そして,子どもたちが友人関係に非常に気を使っていて,
いかにしんどい環境で,
「人とのつながり」にとらわれているのか,も読み解けます。

一読オススメの本です。

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コメント

今、たまたまNHK35年前にあった鹿川君の虐めの『葬式ごっこ』の番組を観て当時の教師迄も加担していた事、人として、又、人間として許されるべき事では無いです
あまりにも残酷、無残で私も人の親として胸がえぐられた思いになりました
今でも虐めは後を断ちません
鹿川君がどんな思いで自ら命を絶ったのかと思うと言葉に出来ません
今でも当時鹿川君の担任だった教師、周りに居たクラスメイトに遺憾します
許されません、絶対に許される事ではありません。

投稿: 井関 冴里 | 2020年3月22日 (日) 12時10分

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