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2011年11月

児童自立支援施設とは

先日,大阪にある「阿武山学園」での1泊研修に参加してきました。

阿武山学園は児童福祉法第44条に規定された
児童自立支援施設です。
実際に,入所者の95%が非行がある子どもだそうです。

よって,私は,この研修に参加するまでは,
触法少年のうち,本来は少年院送致レベルの子が入所していて
少年院と同類の処遇がされているものと思っていました。

しかし,阿武山学園で丸1日,子どもたちと生活してみて,
全く違うものだと実感しました。
百聞は一見にしかずの本当に有意義な研修でした!



阿武山学園は,全国でも少なくなった「小舎夫婦制」の施設です。
すなわち,入所者は7つの寮に分かれて寝食をともにし,
そこから施設敷地内の小中学校に通っているのですが,
その寮を運営しているのが実の夫婦(寮長,寮母さん)なのです。

1つの寮にはだいたい10人前後の入所者が,寮長,寮母さん家族と
同じ屋根の下で生活しています。
寮長,寮母さんは,自分の子どもにも,入所者にも,親として接します。
寮の子がだいたい何をやっているかは把握しているし,
人としてやっちゃいかんことは注意します。

実際に,私が一緒に夕飯を食べた寮では,
寮の「お父さん」,「お母さん」と
その子ども(4~5歳の子どもさん2人)のいるテーブルで
入所者たち10名ほどと一緒でした。


入所の子たちの心遣いはあったかいです。
育ちざかりの食い気旺盛の子なのに,
「先生,これ食べてください。」と勧めてくれます。
私が箸を落としたらすぐに気が付いて「洗ってきます。」と
声をかけてくれます。

食事が終わったら,みんなで「ごちそうさまでした。」といい,
自分の食器は自分で流しに持っていきます。
食器を洗う子,台を拭く子,みんなのために動きます。

きっと本当の自分の家では,食器をひくことも
やっていない経験のはずです。


阿武山学園は,とても自然豊かなところにあります。
その日は自分たちで植えて実ったさつまいもが食卓に並びました。

入所者の子は,畑いじりもやります。
たった何ミリのはくさいの種が2~3キロに
大きく育っていくことを目の当たりにします。
夏は雑草刈りの毎日になり,秋は園内にある柿をちぎって食べます。


寮長さん・寮母さんから,
子どもがいかに,何も知らず経験が少ない状態で来るのか,
それが,畑いじりや,寮長・寮母さんとのコミュニケーションを通して
どのように変化していくか,という実体験をお聞きしました。



非行する子どもたちの受けている授業参観もしました。
勉強についていけていない子がほとんどで,
私が思っている以上に勉強が小学校レベルで止まっていることを実感しました。

ただ,良かったと思う点は,1つのクラスに10人足らずで
先生の目が全員に届くことです。
通常の公立学校に通う子ならば全く授業に参加していない子たちでしょうが,
阿武山学園では,手を挙げ,大きな声で先生の問いに答えていました。
阿武山学園でつく成績は,他の学校でつくものよりも
相対的に良くなり,高校進学時に有利になることもあるそうです。


阿武山学園さんからの弁護士に対するニーズの声も聴きました。

●付添人活動において,
児童自立支援施設送致の意見とするのであれば,
阿武山学園ではどんな処遇をされ,どんな変化の可能性があるのかを
保護者に説明しておいて,同意を得ることが重要。


●性被害に遭った子どもが証言に立つときの付添人に
顔の知った弁護士がついてくれると安心なので,
今度とも子どもの権利委員会との交流をもっていきたい。


以上,1泊研修というのは,なかなか時間に苦労すると思いますが,
行ってみると,どのプログラムにも意図と意義があり,
行かなければ分からなかった値打ちのある研修でした!
この経験は,きっと付添人活動で活かすことができると思います。

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豊中BBS 阪大キャンパス座談会

今日は,豊中地区BBS会の活動で,
大阪大学豊中キャンパス・座談会に行ってきました。

豊中BBS会に顧問的に関わってくれている
元裁判官・井垣康弘弁護士と一緒に行ってきました。


場所は,共通教育A棟の奥に新しく建っていた「開放型セミナー室」。
1階にガラス張りのオープンカフェのような雰囲気の場所があり,
そこで,過去に放映された「セカンド・チャンス!」を取り扱った番組を
スクリーンで流しながら,集まった人たちと語らいました。

集まったのは,阪大の法学部生,人間教育学部の人,
工学部の人と学生ばかりではなく,
遠方から来た一般の方もいました。

座談会は,ざっくばらんに参加した動機を話したり,
質問したり,誰かの発言を受けて考えた感想を述べたり。

ノルウェーのニコル・クリスティ教授が使った言葉ではありますが
「刑事政策のことを日常会話のように話をする。」
ような雰囲気で進みました。

一例をいうと,
「BBSって何ですか。」に始まり,
「なんでBBSの活動をしているのですか。」
「井垣先生に,少年Aのことを聞いてみたい。」
「非行した少年は本当に更生するんですか。」
「非行少年の人が出てきてどのように生活しているのか,
 話を聞くにはどうしたらいいですか。」
「少年法は甘くないですか。」
「自分は不勉強で何にも知らないんですけど,
少年院に入ってる人って,本気で立ち直ろうと思っているんですか。」
「なんで再犯が多いんですか。」
「少年院ではどんなことをしているんですか。」などなど。
「死刑廃止論についてどう思いますか。」などなど。

そこでは,一切の発言が受け容れられた。
そこにいた人はみんな,言葉は発していなくとも,
犯罪者,非行少年の問題は,無視することの出来ないものなのだと
考えを深めていることを,私自身が感じとった。

百聞は一見にしかず。豊中地区BBS会の活動を通じて,
実際に非行少年と関わってみたり,
少年院の運動会等の手伝いをやってみてもらいたい。

次回定例会は11月9日午後20時から
岡町駅徒歩5分の豊中福祉会館であるので,
ぜひ一度来てください!

【今日の議論で心に残った議論の一節。】

私たちBBS会員は,一般人だけど,
一般人だからこそいい部分がある。

いろんな薬を処方されて,治療を受けている人でも,
やはり素人に「しんどいねん。」と言いたいときがある。
家族が周りにいてもそれが満たされない人がいる。

それを傾聴する,寄り添う,受け入れる。



【今日阪大を訪れた感想。】

阪大は私の母校。まじなつかし~☆

阪大のシンボル,共有教育A棟から図書館にかけての銀杏は,
まだ色づいてはいませんでした。

建物は改装され,新築され,近代的な作りになっていましたが,
キャンパスを流れる空気,学生の雰囲気は変わっていない気がします。

共通教育A棟の中庭では,学生が,
相変わらずガラスに自分の姿を映しながらダンスの練習していたり,
ジャグリングの練習していたり。

今日は,天気も気候もよく,本当に気持ちのいい一日で,
学生がベンチで陽にあたりながら,本を読んでいました。

ここに流れる空気を吸い込んで,
一気に大学生の頃の思い出が蘇ります。

大学に入学したとき,今は亡きかの民法学者が,
「君たちは,たとえば,天井を見ながらぼーっと一日過ごしたとしても,
それでも国費を投じるだけの価値がある人材だ。」と言ったのに
驚いたことを覚えていますが,
(ちょっと私流に加工されているかも)

本当に,学生の頃の時間の流れというものは,
・・・言葉にし難いのですが,
とても稀少価値のあるものだったのだと改めて思いました。

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