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2011年10月

子どもをとりまくケータイ事情

今日は,子どもの権利委員会・学校部会の特別企画で,

寝屋川市教委指導主事 竹内和雄さんにより,
子どもをとりまくインターネット環境の現状と
「寝屋川市でのメディアリテラシー教育
~主に携帯電話の使い方についての取り組み~」
について,ご講演をいただきました。

竹内先生のご紹介
http://www16.atwiki.jp/takekaz/pages/15.html


ケータイ問題というのは全国共通とのことであった。
今どきの小中学生の7割がケータイをもつ。
高校生は98%持っているそうである。
部活動での連絡,クラス委員からの連絡,
塾の往復のための連絡,全てケータイを通してやっていることから,
ケータイがない学校生活が考えられない状況だそうである。


そして,本当に,私たちは子どもたちのネット環境を知らないことを実感した。
子どもたちは,想像を超えるくらい,ネット使いに長けている。


自分で「ホムペ」(注:ホムペというのは大阪くらいらしい)をもって,
そこに自分の本名,住所,クラスなどの個人情報にとどまらず,
自分の写真をアップし,好みのタイプ,
ファーストキスの時期,経験人数など
非常にプライバシー性の高い情報を,こともなく開示している。

そして,友達のホムペにリンクをはって,アクセスランキングを競う。
リンクの先には,アダルトサイトが紛れ込んでいる。

竹内先生がネットについて教えてもらっている高校1年の女の子にきくと,
「私たちは見るのはただ。」ということを理解しているという。
そして,「セフレ」という言葉が何をさすか,
中学生,高校生の「値段」がいくらか,女子高生はよく知っているという。
私は,「リク写」という言葉も初めて知ったというのに。

竹内先生は,ネット上で氾濫している実際の写メ,書き込みを見せながら,
子どもたちをとりまく環境を披露してくれた。
実に唖然とする内容であった。



さらに,竹内先生は「アメーバピグ」を実演してくれた。
CMで流れるフレーズはよく聴くのだが,
それが実際どんなもんかは初めて知った。

自分を模したアバターを使って広場に行くと,そこにはたくさんのユーザがいる。
そこで知らない人に話しかけて,交流し,友達申請したりする。
自分の部屋を飾り,そこに他のユーザが訪れてチャットしたり。
実に簡単で現実にはあり得ない他者との交流が難なく取り交わされていた。



竹内先生が実施したアンケートによると,
会ったことのない人とメールしたことがある子どもは,5割
そのうち,ケータイで知り合った人と実際に会ったことがある人は,8割
この数字を聞いて,本当に驚くというか,呆れるというか・・・

ただ,この事態を「呆れる」という感覚は,
最近の子どもとは少し違う感覚なんだろうな~と思う。


この子ども達を取り巻く現状をみると,
「インターネットは子どもに悪影響だ。」
「インターネットを取り上げてしまえ。」となるのだろうか。

それは違う,というのが竹内先生の提言である。



一日13時間の携帯依存から回復した人の言葉にヒントがある。

ネットが悪いわけではない。
リアルの世界で生き辛いことがあり,だからこそネットにはまる。
むしろ,ネットがあったからこそ,リアルの世界での「暴走」を
軽減できたという部分がある。

ネット依存のときは,ネットの世界が生活そのものになった。
ネットの世界では,知らない人にも話しかけることができる。

ただ,やはりネットの世界は,おもしろいけど感情が伝わらない。
本当の人間関係は築けない。

リアルの世界で,
努力したことを認めてくれる大人がいたこと
友達ができて,ライバルと競って,
その中で信頼関係を築いていくことのほうが,よっぽど楽しいと思ったこと
そうするうちに,自然とネットがつまらなくなったということだった。



要するに,解決法は,リアルの世界にある。
ネット問題の根源には,リアルの世界でどう彼,彼女に関わることができるか,
というところにキーがある。

聞いて欲しい時に聞いてくれる大人,友達がいない。
そうすると,徹底的に聞いてくれるネットの世界の人が「優しい」と勘違いする。
加害者側にインタビューすると,ネットで知り合う子は,
「ちょっと優しくしたら簡単についてくる」程度の感覚だそうだ。


ネットにハマル子どもたちが求めているところは,
本当は昔と何も変わっていないということである。
昔と一緒で大人の愛,友たちと人間関係を作ることなのである。



今日は,子どもをとりまくケータイ事情は,
子どもを理解する上では,欠かすことのできない背景事情であることを実感した。

今日の講義で学んだインターネット環境には,衝撃が大きく隔世の感があったが,
今後は目的意識をもって,もっと意識して情報収集していきたいと思う。

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裁判員裁判における専門家証人による「適切な刑」の立証について

最近の記事より

『パチンコ店に放火し5人を殺害したとして、
殺人罪などに問われた無職高見素直被告(43)の裁判員裁判の
第12回公判が12日、大阪地裁であった。
弁護側証人として出廷した元最高検検事の
土本武司筑波大名誉教授は、
「絞首刑は限りなく残虐に近く、
正視に耐えない」と証言した。』

引用元
『「絞首刑、残虐に近い」=立ち会い経験の元検事―大阪地裁』
時事通信

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20111012-00000084-jij-soci

注目したのは,いわゆる専門家証人が採用されており,
刑の執行部分の話を裁判員が聞いているということである。

少年被告人の裁判員裁判においても,類似の議論がある。

すなわち,少年法55条移送が争点となった場合,
当該少年被告人には,
少年刑務所による受刑が適切なのか,
少年院における処遇が適切なのか,
その判断のために,裁判員には
少年刑務所と少年院での生活の実態を
知る機会を与えるべきである,というものである。



この点について,裁判員に少年院と少年刑務所の違いを
分かってもらうため,専門家証人のとして,
8年間の元法務教官の経歴をもつ弁護士が
裁判員裁判で少年院と少年刑務所の違いを証言した,
という実例がある。
(非常にお世話になっている先輩です!)

参考HP 愛知弁護士会のHP「子どもの事件の現場から
少年の裁判員裁判~少年法55条移送を求めて~」

http://www.aiben.jp/page/library/kaihou/2204_01kodomo.html

しかし,専門家証人の採用には,
裁判所は非常に消極的である。

そのため,書証による立証が主な方法となるが,
書面上では,少年院と少年刑務所の違いが
伝わりにくいという問題点がある。
結果として,少年に必要な更生のチャンスが
失われる場合もある。

以上は,11月25日に予定されている
近弁連シンポの中で議論され,当会からの
提言が予定されているの部分である。
ぜひ期待していただきたい。

※近弁連シンポのご案内  
(あれ?会場は大阪弁護士会では
ないような・・・。)

http://www.kinbenren.jp/symposium/index.html

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